かなりビックリなニュースでしたね。あのキーエンスが、ジャストシステムの第三者割当増資を引き受けて44%以上の筆頭株主となり、取締役3名、監査役1名を送り込んで実質支配するという。総額は45億円に達する。しかも3000億円に迫るキャッシュを持ちながら、これまで事業拡大や救済的な資本注入などM&Aにはほとんど無縁だった会社が、分野がかなり異なるM&Aに取り組んだこと。この額で大手の普通の電機メーカが投資決心すれば、それなりの取扱がされてもおかしくないが、一般紙での取り上げ方はかなり小さいですね。キーエンスの知名度の問題というか、上場していてもIRには全く無頓着、そりゃ創業者が実質支配しており、資金も潤沢でIRの必要性もないので、接待漬け、情報を取りに行かず、受け身が身についてしまった経済紙の記者には無縁の会社だからかな。
それにしても不気味。超キレ者ののキーエンスが、どう考えても衰退の道を歩んでいたジャストシステムに資本参加するというのが。たしかに、Pro-Searchや、Pro-iDBなど、検索エンジンの新商品を投入してきており、日本で唯一に近い形で残った、その分野のジャストシステムを拾ったというのはわからないでもない。しかし、キーエンスの現在の直販営業で売れるのかどうか。そして、収益性、成長性にきわめて厳しいキーエンスの狙いはそれだけなのかどうか?
今のジャストの企業向け内製商品とキーエンスの持つ営業エリアを重ね合わせると、一部の中大企業と大学研究室や企業の分析室が重なるくらい。工場向けでは、今までのスピード重視の営業スタイルから考えると、少々売りにくいソフトが多いように思える。やはり研究室や分析室の顕微鏡、デジタルファインスコープとの合わせ技か?しかし、2年目で累損解消しなければ撤退するキーエンスが、それに50億円も投資するのか?
もしかしたら、ジャストが持つパーソナル向けの商品、一部のOEM商品を中小企業向けに売りつけるのかも。キーエンスにかかると、一太郎が復権することすらあり得るように思えてきた。工場のウィルス対策はカスペルスキーがシェアを取るかもしれない。この手の商品は在庫管理は難しいものの、バンの後ろに積んでいけそうだ。
ジャストシステムの最近のソフト流通業的なモデルをキーエンス的に改良することで、新たな高収益モデルが見えたのかもしれない。そうすると、敵はソフトバンク。ソフトバンクは20年前からソフトウェア流通業のうまみを知り、それを基盤に今の姿を築いた。何年かのちに、キーエンスは、FAセンサ業界でそうだったように、ソフトバンクが胡坐をかいているソフトウェア流通業を支配するかもね。いつかは携帯電話・無線LANの通信業者になるかもね。
少なくとも、FA業界では、キーエンスの攻勢に気づくのが遅れ、あるいはまだ気づいておらず、机の上のパソコンに表示される売上数字の鈍化と、シェア数字の安定から、売上成長が止まったのを市場の飽和とととらえて別分野に投資を振り向けて自滅の道を歩んだ。実は、キーエンスは旧態依然の業界団体に売上数字を提出せず、シェアを明らかにしていない。日本のFA市場は全体として成長していながら、中国や欧米やらの新規エリアやまったくの飛び地への投資に振り向けすぎたのだ。
つぎはソフトバンクがそうなるのかもしれない。いや、もしたしたら、マイクロソフト?
ま、そのまえに、日本のSIに胡坐をかいている電機メーカだろうけどね。
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